N-アセチル・システイン(NAC)

NAC(N・アセチル・システイン)は体力づくりから慢性疾患まで、幅広い効果があります。NACはグルタチオン前駆物質のアミノ酸で、すべての細胞内に存在する体内でもっとも豊富な抗酸化物質です。

NACは化学的に誘発されたがんや、呼吸器系疾患などの治療薬として幅広く研究が行われてきました。米国立がん研究所およびヨーロッパのユーロスキャン・プロジェクト、安全かつ効果的、経済的ながん治療を目的としたプロジェクト)による研究が現在行われており、これまでに得られた研究結果は非常に有望です。

動物実験では、フリーラジカルの形成を促し、がん細胞の成長の原因となるDNAのダメージを阻害する作用がNACにあることがわかっています。ある研究では、煙草の煙を浴びせ、NACを投与したラットは肺や器官などの易損性箇所(損傷を受けやすい性質をもつ箇所のことで、日常的に煙草の煙にふれていると肺と器官に損傷を受けやすい)のD N A に、予想されていた変化が起きませんでした。

NACによって肺組織のグルタチオンが増加して、フリーラジカルによるダメージから細胞を守るからです。現在煙草を吸う人、あるいは以前にタバコを吸っていた人は、このサプリメントを摂取することを考えてみてください(当然のことですが、禁煙・辞煙をすることもおすすめします。禁煙はこちら。)。

フリーラジカルによるダメージはがん以外にも、慢性呼吸器系疾患など多くの病気の原因となっています。人体を対象とした研究から、NAC が気管支炎や気管支炎ぜんそく、気腰、慢性副鼻腔炎などの予防に効果のあることがわかっています。

ある研究で、2500人以上の重度の呼吸器系疾患患者に毎日、600 mgのNACを与えました。患者の多くは肺活量が大幅に改善し、せきたん咳や疾が緩和されました。
また、NACは予期せぬ侵入者とたたかう働きをもった、重要な細胞を活性化させ、免疫機能を高めます。NACを摂取している人の気管支には病原となるバクテリアがほとんど見られませんでした。このことから、NACには予防効果があると考えられます。

肺感染症にかかりやすい人は、NACを毎日摂取すれば健康でいられるはずです。NACは重傷の内耳感染症の治療にも用いられています。耳の感染症はほとんどの場合、自然治癒しますが、内耳に何ヶ月も水が溜まったり、聴覚に影響することがあります。また、子どもの場合、抗生物質を投与しすぎると、薬に耐性をもつ新種バクテリアが誕生して抗生物質が効かなくなり、治療が非常に難しくなります。NACは現在の治療法よりも安全で効果のある、代替治療法です。

ボディビルダーは、トレーニングの疲労回復を早めるためにNACを摂取します。激しい運動を行うと、血中のフリーラジカルが増えて筋肉の痛みやこわばりを感じます。また、フリーラジカルを除去するために、グルタチオンが消耗されて減少します。NACサプリメントを摂ると血中グルタチオン値が元に戻るため、血中のフリーラジカルが減り、回復が早まります。